Present for you 




「ねぇ国光、クリスマス、何欲しい?」 
「何だ・・・いきなり」 
「だからね、国光は、クリスマスに何欲しいのかなぁって」 

「・・・・特に・・・ない」 

この人、あたしの彼氏の手塚国光。 
我が青春学園中等部硬式テニス部の部長さんやってます。 
テニスはもちろん、勉強も出来るし、とぉ〜ってもカッコ良いんだけど・・・・ 
・ ・・・・ちょぉ〜っと冷めてるんだよねぇ〜(^-^; 


「もうっ!『ない』とか寂しいこと言わないで、ちゃんと考えてよっ!!」 
「ないものはないんだから、仕方ないだろう・・・・」 
「むぅ〜・・・・・・」 

国光ってちょっと大人すぎるとこがあって、時々何考えてるのかさっぱりわかんない。 
会話も何だか素っ気ないし、笑ったり怒ったり、感情もあんまり表に出さないし・・・・ 
だから時々不安になる。 
国光の中であたしは「彼女」の椅子に座れているのかどうか、 
ホントはあたしなんか、全然必要とされてないんじゃないかって。 
「愛してる」なんて気の利いた言葉はいらないから、もっとオープンになってほしい。 
そう思うんだよね。 




12月25日 クリスマス 



結局、国光の欲しいモノを聞き出せないまま、この日を迎えてしまいました。 
あんまりしつこく聞くのも悪いかなって思ってたら、あっという間にクリスマス当日。 
おまけにテニス部は今日も練習がある様子。 

もうっ!これじゃぁクリスマスも何もないじゃないっっ! 

・・でも、あたしはこんな風に焦ってるけど、国光はどう思ってるんだろう? 
やっぱりこんな乙女チックなイベントより、部活の方が大切かな・・? 
そればっかり気になって、どうにも落ち着かない。 
せっかくのクリスマスなのになぁ・・・・・・・。 

************* 


部活も終わったであろう夕方5時過ぎ、せめて一緒に帰ろうと、部室に立ち寄ってみた。 

「く〜にみつっv」 

そぉっとドアを開けて、愛しい人の名前を呼んだ。 

「ああ・・・ 朔月 か」 

「ねぇ国光。今日クリスマスじゃない? 
だからさ、今日はどっか寄り道・・・・・・」 

「 朔月 」 

あたしがそれを言い終わる前に、国光が遮った。 


「・・・・クリスマス、だろ?」 


そう言った国光の手の中には、紅いリボンのかけられた小さな箱。 

「・・・くれるの?」 
「・・ああ」 

国光からその箱を受け取り、リボンをほどく。 
静かに箱を開けると、蝶のヘッドのネックレスが・・・。 

「凄い・・・・国光、これ・・・・」 
「・・・気に入らないか?」 

「ううん、すっごく嬉しいvありがとうっv 
・・・つけてみても・・良い?」 
「ああ・・・」 
今つけているネックレスを外し、箱に収まったものと取り替える。 

「・・・どう?・・・・似合う、かな?」 
「ああ、凄く・・・」 
その時の国光の顔が、ちょっと笑ったような気がしたんだけど、それは気のせい? 
  

「行くぞ」 

「えっ・・・・ちょ、国光っ!」 
慌てるあたしの腕を、国光の手がぎゅっと握った。 
その瞬間、身体がかぁっと熱くなるのがわかった。 
そう言えば、国光と手つないだの、初めてかも・・・・。 

「国光」 
「何だ・・・?」 
「ありがとv」 

そう言ってあたしは、国光の頬にキス。 
その後、国光は何にも言わなかった。 
でも大丈夫。 
ちゃんとわかったよ。 
あたしのこと、凄く思ってくれてることも、ちょっと不器用なことも。 

「愛してる」なんて気の利いた言葉はいらない。 
一緒にいるだけで凄く伝わってくるんだ、国光のキモチ・・・・・